Vol.4【コーヒーが夫を救う!?50代主婦の野望】58歳主婦
セカ充インタビューでは、日本で暮らす40代〜60代の女性のみなさんに、「今の自分が好きなもの、好きなこと」をテーマに、お一人おひとりにお話を伺っています。
今回、インタビューさせていただいたのは、
◆58歳 神奈川県にお住まいの主婦Hさん。
今日は、待ち合わせ場所がわかりやすいからということで、有楽町の『ブルックリンカフェ』でインタビュー。香高いコーヒーの他、スイーツもアメリカっぽくて、なんだかニューヨーカーを気取りたくなる気分です。

――――今日はありがとうございます。早速ですが、今のあなたの好きなもの、好きなことを聞かせてください。
ズバリ、コーヒーが好きです。この香り、たまらないですね。
お店で飲むのも好きですが、コーヒー豆を買ってきて、家で飲むのも好きです。
――――コーヒー好きになったのは、いつ頃からですか?
実は、ここまで好きになったのは、ここ数年なんですよ。
どちらかというと、今までコーヒーは苦手で、それこそ、若い時なんて苦いと感じていて、砂糖やクリームをドバーッと入れないと飲めない人だったんです。
コーヒーが飲めないくせに、大学生の時にカフェでアルバイトしてました。おしゃれなカフェで、アルバイトしてみたかったんですよね(笑)。コーヒーのおいしさを私にわかって欲しいと、その時の店長が時々コーヒーを入れて飲ませてくれたんですけど、やっぱり砂糖やミルクをドバーっと(笑)。周りからドン引きされるぐらい入れて飲んでました。
もはやコーヒーの味はかき消されてましたね(笑)。今から思うと、失礼なことしてました。
社会人になってからは、仕事やおつきあいでコーヒーを出されることが多くなったので、だんだんコーヒーも飲めるようになりましたけど、やっぱり苦手でしたね。

とはいえ、さほど興味がなかった私が、コーヒー好きになったのは”夫の病気”がきっかけです。
10年前、夫が内臓に腫瘍が見つかり大手術をしたんです。幸いガンではなかったものの、体重が10キロ以上減ったうえに、海外出張をいくつもこなしていたほど頑丈だった夫ですが、体力がなかなか回復せず、しばらく会社を休職することに。
その時、年子の娘二人はまだ中学生。夫の体のことはもちろんですが、お金のこと、これからの生活のことを考えると不安で頭がいっぱいになりました。
自宅療養中は近所を散歩するぐらいで、家でゆっくりするのがほとんどだったある日、夫が「家で美味しいコーヒーが飲みたい」と言い出しました。私はコーヒー好きじゃないし、夫が海外出張で家を空けることが多かったこともあって、我が家には”コーヒー”というものが存在しなかったのです。
じゃ、家でコーヒーを飲もうか、せっかくなら美味しいコーヒーを飲もうということで、リハビリがてら、街へ買いに行きました。
――――お二人にとって美味しいコーヒーとはどんなものだったのでしょうか
海外出張が多い夫は、よくスタバのようなさっと飲めるコーヒーをよく飲んでいたようですが、マスターが一杯一杯入れてくれる、日本の老舗の喫茶店のようなスタイルに憧れていたようです。
夫がずっと気になっていたという珈琲焙煎の店に行き、コーヒーミル、サーバー、フィルター、コーヒーポットの一式を購入。お店の人にミルで豆を引く方法、ペーパーフィルターの使い方、美味しい入れ方のコツなどレクチャーしてもらい、気分に合わせたコーヒー豆も2種類チョイス。
そばで聞いていた私も「なんて奥が深いんだ」と思わず話に引き込まれてしまい、コーヒーの見方がガラリと変わった瞬間でした。

早速自宅に戻って購入した一式を広げ、夫がゆっくりと豆を挽きはじめました。
ガリガリ、ガリガリ。豆を挽く音って、なんかいいなーって思いましたね。部屋いっぱいに広がるコーヒーの香りも心地よくて。なんか気持ちが解放されていくというか。その時のシーンって、いまだに目に焼き付いてますね。
夫が丁寧に入れてくれたそのコーヒーを一口飲んだ時、びっくり!その美味しさに感動して「こんなに美味しいコーヒーは生まれてはじめて!」と、思わず夫に叫んでしまいました。
砂糖もミルクも入れていない、ブラックのコーヒー。コーヒーが苦手な私のために、マイルドなテイストの豆を選んでくれたのですが、何も入れなくても、苦いと感じなくて。
美味しいコーヒーって、こういうことなんだと、その時やっとわかりました。

それを聞いて夫は、「そうか、よかった」とにっこり。
そして、はじめて自分でいれたコーヒーを飲んで「うまい!」とご満悦。
それから復職するまでの間、夫は毎朝コーヒーを入れてくれました。豆をゆっくり挽いて、いっぱいづつ丁寧に入れる。この一連の流れが夫のいいリハビリになったようで、だんだん体力も気力も戻り、おかげ様で復職することができたのです。
私たちにとっての”美味しいコーヒー”は、味は当然ですが、ゆったりした時間でいただく丁寧にいれた一杯、ということかもしれませんね。
コーヒーが夫を元気に、そして、私たち家族が救ってくれたと思っています。
――――コーヒーが家族を救う!このエピソードがきっかけで、Hさんのコーヒーへの関心が高まったのですね。
夫に病気が見つかる前は、なんだかんだお互い忙しくて、家族でちゃんと向き合っていなかったなと気づいたんです。
忙しい毎日でも、ほんの少しの時間でもいいから、コーヒーを飲んで落ち着く時間って必要だと痛感しました。落ち着く方法って人によっていろいろあるので、紅茶でもお茶でもいいんです。でも、私にとっては、夫を元気にしてくれて、我が家を救ってくれたコーヒーが一番落ち着きます。それからは、もっと深く知りたいと思うようになりました。
今まで苦手だったから、そんなに目に留まらなかったけど、コーヒーが飲めるところって世の中たくさんありますね。当たり前か(笑)。
お店によって、それぞれに特徴があって面白いなと。このニューヨーク・ブルックリンカフェも、ニューヨークスタイルってなんだろう?どんな違いがあるの?と思いながら飲むと、より面白くなる。
そんな感じであちこち行って楽しんでいたら、いつの間にか「コーヒー好き」になっていました。
――――これからの5年間ってどのように過ごしていきたいと思ってますか?
一つ年上の夫も来年定年を迎えます。子どもたちも独立したので、いよいよ夫婦二人の時間になりますね。
復職してからの夫は、毎朝コーヒーを入れるのはさすがに難しかったのですが、定年後はまた復活するかもしれませんね。
まだまだ元気なので、二人で旅行に行って、旅行先でいろいろなコーヒーを飲み歩きたいですね。
そして、夫にもまだ話してないけど、自宅をちょっとリフォームして、カフェスペースを作れたらなと思っています。そこに、友人や趣味の仲間が集って、コーヒーが飲めてゆっくりおしゃべりできるスペースがあったらいいなって。
その時は、夫にコーヒーマスターになってもらって、、とか、いろいろ考えてると楽しいですね。
私の”密かなる野望”です。5年後に実現していたいですね。

――――今日はどうもありがとうございました!
コメントを残す