子ども写真教室の先生になりました

一般財団法人 東京都ひとり親家庭福祉協議会(ひとり親Tokyo)様のご依頼をいただき、ひとり親家庭の子どもを対象としたイベントで、人形の町埼玉県岩槻市で開催された「まちかど雛めぐり」の写真の撮り方ミニ講座の講師をさせていただきました。

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埼玉県岩槻市の駅前は「人形」の文字がたくさん!

はじめて耳にした ”経験格差”

お話をいただき、いろいろと詳細なお話を伺っていくうちに、一番驚いたのが "経験格差”という言葉。この年になって、はじめて耳にしました。

ひとり親の子どもたちは、ひとり親家庭を取り巻く経済環境や時間的制約などの事情により、古来から日本に伝わる伝統的な年中行事や季節イベントに参加したり、家庭でお祝いする機会が少ないという実情があるとのこと。

このような中で一般家庭との「経験格差」がますます広がり、日本の伝統行事に対する興味・関心が薄れていくことが危惧されることから、ひとり親Tokyo様は、このような「格差」を少しでも解消したいと立ち上がった組織です。

ひとり親の子どもたちが古きよき日本の伝統行事に触れたり、季節の移り変わりを肌で感じられる自然体験をすることで、視野を広げ、心身ともに健やかに成長してくれることを主旨として活動されています。

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親は一人だろうが二人だろうが、それぞれの環境下で事情がありますから、ひとり親だからって、かわいそうという目で見るのは間違っていると個人的には思っています。ですが、この「経験格差」の現実を聞いて、ハッと気づかされました。

行事やイベントを通して、子どもと楽しみたいと思っている親はたくさんいると思いますが、確かにひとり親では、時間的な制約はあるでしょう。

子どもの頃に親と一緒に経験した楽しい時間は、大人になった後でもふと思い出すことがありますよね。子どもの頃の楽しい記憶は、その後の人生の心の支えにもなることは、大人になった我々だからこそ気づいたことです。


この社会的意義のある活動に、私がお役に立てること大変光栄で、少し武者震いも(笑)。

このイベントが子どもたちにとって楽しい記憶の1ページになれるように、「楽しかった〜」「写真が好きになった〜」と思ってもらえるようにと、気合十分で当日を迎えました。

写真を撮りたくなるのは心が動いた時

老舗料亭にて写真の撮り方ミニ講座で撮影のコツをレクチャーの後、(スマホで撮っていただきましたが、目つぶりw)

何かを見て思わず写真を撮りたくなるのは、「あ、いいな」と心が動いたときです。その時に自分がどんな風に気づいたか、記憶まで記録してくれるのが写真。

まずは、その「いいな」と思った自分の気持ちに気づき、どこがいいと思ったか、それをどんな風に伝えたいか。もう一歩深堀することで、構図は自然と決まってきます。

レクチャーの前に駅前で撮った私の写真をみなさんにシェアして、「私は〇〇と感じて、〇〇と思ったから、こんな風に撮りました」と気づきを言葉にし、自分のイメージ通りに撮るコツをお伝えしました。

日常には素敵なものがあふれている

ひな祭り膳で料理写真撮影のあとは、料亭内にある大きなひな壇や吊るし飾りを前に各自撮影タイム。

一つのスマホを一緒に覗き込む親子、それぞれに持っているスマホで撮った写真を見比べている親子、こどもがじっくり撮る様子を側で見守る親。

スマホカメラが当たり前に日常にある今、改めて「写真を撮る」ことに向き合う親子の時間は新鮮に感じるのでしょう。「こどもの視点って面白いですね!」と言う親御さんの言葉が印象的でした。

 料亭の後は、古民家が点在する城下町を親子で撮り歩き。商家に伝わる古い人形や、岩槻で活躍する職人の作品を前に、撮りたいものがたくさんあって「もう300枚も撮った!」と嬉しそうに報告してくれる子も。

写真は撮ろうと思うとモノの見方が変わってきます。

普段何気なく歩いていても、キレイなもの、かわいいもの、かっこいいものにフォーカスするようになります。そう思うと、実は自分の周りには素敵なものがあふれていることに気づくのです。

伊東宏子

何気ない日常には、実は素敵なものがあふれていると気づけるのが写真の面白さ!

写真が面白いと感じ、私がはじめたきっかけを交えながら、そんな気づきをお伝えしていると、「日常をそんなふうに感じたことがない」という親御さんがほとんど。

仕事に子育てに一所懸命な親御さんの日常が、会話の中からも伝わってきました。毎日いろいろあるけど、視点を少し変えると違った世界が見える。この講座がそんな視点に気づくきっかけになったらいいな。

岩槻の街歩きで撮った写真。

みんな違って、みんないい

「もし、子どもたちが飽きちゃったら」のパターンも準備していたのですが、岩槻町の素敵な街並みはもちろん、ひとり親Tokyoのスタッフの方々にもいろいろと助けていただいたおかげで、イベントはとても盛り上がり、あっという間に終わりました。

最後に、子どもさんにお一人ずつ、皆さんの前で本日のベストショットを披露していただきました。

子どもたちがそれぞれ言葉を添えて、自分で撮った素敵な写真をプレゼン。「あ、素敵ね〜」「あ、そういえばあったね」「あそこをこんなふうに撮ったんだ」と、いろいろな写真を前に感嘆の声があちこちで聞こえてきます。

今日はこの大人数で、同じ時間、同じ場所を撮り歩きましたが、同じ写真が一枚もない。どれも全部素敵な写真で、いいも悪いもありません。自分はあの場面はこう撮ったけど、他の人の写真は全然違ってたということに、みなさん気づいてくださいました。

そう、これこそが私が一番大切にしているポイント!

伊東宏子

つまり、みんな違ってみんないい。だからこそ、みんな素晴らしい。

写真を通して私がいつも伝えたいと思っていることを、締めとしてお伝えさせていただきました。

熱が入りすぎて、ちょっと暑苦しかったかも(笑)。

子どもたちにとって、今は意味がわからなくても、後になってから、そういえば、あの人そんなこと言ってたなって、頭の片隅にでも置いてもらえたら嬉しいな。

忙しいひとり親にとって、このような取り組みは大変有意義です。このたび、そのお手伝いができたことが大変嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいであります!

みなさんからの「楽しかった!」「先生またやってください」の言葉に、私も本当にたくさんの元気をいただきました。

子どもたちが撮った写真の一部をご紹介しますね。